174  名前:氷河期@ ID:HLHNONE  2013/03/20 00:12

第15話 『今日で』

「おもしれぇ…今日で決着つけてやるよ」
士気が上がっている岸本の目にはZが映っていた
神の手によって強化されたZはより一層、美しく輝いていた
「ぼっちゃま…じいやも同乗させていただきますぞ」
いつにない燃えた表情でじいや言った
村田は自信に満ちあふれた顔で軽くうなずいた
「当然だぜ、じいや。ここまで来れたのもじいやの、ここにいる全員のおかげでもある。本当に…感謝している」
そう言って村田は頭を下げた
全員が小さく笑みを浮かべた

「すげぇ、速い…」
夜の湾岸線に一人だけ輝くZがいた
100km/h代で走る車を軽く抜き去っていく
240、250、260…どんどん針が動いていく
走っていくうちにPAへと着いた。そこには青と黒、二つの大きな存在があった
「ついにここまで来たか…」
村田が小声で呟く
じいやはその呟きを聞き逃さなかった
「えぇ…ぼっちゃま、期待していますよ」
Zのドアが開いた
今までにない威圧感を放つ村田に、岸本と米沢は少しながら動揺していた
「変わったな…何か」
「そんなでもないですよ、岸本さん」
「ふっ…そうか」
変わっていないなど全くの嘘である
マシンも、村田自身も、何もかもが変わった
そんな激的な変化に潰されなかった村田は…強い。
「さぁそろそろ決着つけようぜ」
源田がそう言うと、全員が一斉に車に乗り込んだ
(岸本…変わったのはお前と村田って野郎だけじゃねぇ、俺も変わったんだ。負けてばかりじゃ最速の名折れだ!)
米沢はハンドルをより一層強く握った
誰よりも先に黒き猛牛、ブラックブルが本線へと出た
それに続くようにして怪鳥ブルーバード、Zが続く
「米沢の野郎…張り切ってんなぁ、さすがに負けてばかりはいられねぇってわけか」
「そうでしょうね、おそらく。ですけど、アイツも変わりましたよ。村田と同等の士気でこのバトルに臨んでいるはずです」
ブラックブルからは強いオーラが滲み出ていた
もう負けられない、飽くなき勝利への欲望、それが強く表れていた
(俺は絶対に負けられねぇ…じいや、源田さん、岸本さん、たくさんの人に支えられてここまで来た。未来の希望を掴み取るためにも、俺は此処で…勝つ!!)
村田が思い切りアクセルを踏み込んだ
今までの思いを全てこのZの託し、凄い勢いで前へと出た

―ふっ、バトル開始だ!


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