248  名前:氷河期@ ID:AOHOLGND  2013/04/21 19:36
第25話 『同格』

(スタートはC1…ここで差を付ければ俺が有利なはずだ)
Rキラーと首都高最速、今まさに決戦の火蓋が切られようとしていた
レインボーブリッジ付近、芝浦PAから二人のバトルは始まる
(まずはC1外回りを一周、新環状、湾岸と走って大井Uターンの最後でゴールだ)
米沢は頭の中でコースを練っていた
だが理想のコースを走るには前に出なければならない
コースの選択権は先行、これは首都高ランナーにとって暗黙のルールである
(よしッ、そろそろ行こうかァ!)
米沢がアクセルを踏み込んだ、ブラックブルが前へと動き出す
米沢が発進するのを見て林もアクセルを踏む
先行は米沢だ
(さぁ…見せてくれ…! 君の最高の走りを!)
先ほどに比べて林は少し落ち着きを取り戻していた

(いきなり橋脚か…)
以前岸本と村田がバトルした時のあの橋脚である
米沢は迷うことなく左側を綺麗に通過する
この橋脚を抜けるとまた橋脚が差し掛かってくる
またしても米沢は綺麗に左側を抜けていく
華麗に走るブラックブルに、R32はピッタリと貼り付いていた
(ピッタリ同じラインで走ってくるとはな…恐ろしいぜ)
林のR32は少しずつブラックブルに迫っていた
おそらくR32の方が馬力は高いのだろう
「チッ、追い付いてきてるな」
米沢が小声で声を漏らす
二台はトンネルに差し掛かる、汐留トンネルだ
(ここのS字コーナーで差を開く!)
軽くブレーキを踏みインベタに近い形で曲がっていく
2つ目のコーナーを抜けた直後、一気にブラックブルが加速した
(何だッ!? この加速は!?)
ブラックブルの驚異的な加速に林は驚愕した
(ありえない…低速コーナー脱出直後に240km/h以上なんて…)
R32のコーナー脱出直後の速度は240km/h
つまり、ブラックブルはこれ以上の速度でコーナーを脱出していたのである
(まだだ…ここからは高速コーナーが続く、そこで差を詰める!)
R32とブラックブルは50m程度離れていた
しばらく続く高速コーナーで距離を縮めるのは容易である
(ここからは高速コーナーが続く…何としても耐えねぇとマズいな…)
米沢は林と逆のことを考えていた
馬力は林のR32の方が高い、高速コーナーの連続は米沢にとって不利である
いくつかのコーナーを抜けるとR32はもう10m無いところまでに迫っていた
(マズい…完全に近付いて来やがった)
2台は最後の高速コーナーに差し掛かろうとしていた
(この左を抜けた時、僕とブラックブルが並ぶはず…抜ければ分岐だ!)
最後の左コーナーを抜けた
林の予想は惜しくも外れ、R32はブラックブルの横には並ばなかった
だがブラックブルの後ろにピッタリとR32が貼り付いていた
(クソッ、無理だったか…)
林が軽く歯ぎしりをした
(助かった…ここからまたC1に持ち込んでやる!)
浜崎橋分岐、かなりキツい低速コーナーが待っている
二人は思い切りブレーキを踏み、再びC1へと走っていく
前を走るのはブラックブル―

―何時も思い通り、そんなことはありえない


戻る